嘔吐・下痢は発熱と並んで小児に頻繁に見られる症状です。 1) 嘔吐時の対処 2) 下痢時の対処 3) 感染性胃腸症(ノロウイルス) 4) ロタウイルス感染症
1)嘔吐 1.診断と治療のポイント 原因は色々ありますが、診断のポイントは「脱水」の有無であり、治療のポイントは「吐かせないようにする」ことです。 普通3回までの嘔吐では脱水にはなりません。 歩いたりお座りができていれば吐いていても、まだ安心です。 3回以上吐いたり、歩かなかったり・お座りしなくなるようだと脱水の心配が出てきます。 そうなれば、少しずつ水分を与えるようにして脱水を防がなければなりません。 脱水にならないように水分を摂ることが大事ですが、むやみに飲めばよいわけではありません。 2.水分の与え方(経口輸液の考え方) 胃が受け付けないから吐くわけですから、吐かない程度の少量の水分を1時間毎に与えることがポイントです。 与える水分は、イオン飲料(ポカリスウェットやアクエリアス)か薄めたお茶が良いでしょう。 1時間毎に年齢x10ml程度の水分を与え、3時間に1回10ml程度のみそ汁かうどんの汁を塩分補給として追加します。 実際は、6カ月=10ml、1歳=20ml、2歳=30ml、5歳=40ml、小学生=50ml位が良いでしょう。 この様な水分の与え方を「経口輸液=飲む点滴」といいます。 イオン飲料に塩分補給をするとほぼ点滴と同じ成分になります。 3.治療 3回まではまだ吐き気止めは入りません。 先に述べた「経口輸液」の考え方で小刻みに水分を与えます。 4回以上吐くようなら吐き気止めを処方します。
2)下痢
1.診断と治療のポイント 原因は色々ありますが、診断のポイントは「脱水」と「血便」の有無であり、治療のポイントは「下痢をさせないようにする」ことです。 普通3回までの下痢では脱水にはなりません。 嘔吐の時と同じように、歩いたりお座りができていれば、まだ安心です。 3回以上下痢したり、歩かなかったり・お座りしなくなるようだと脱水の心配が出てきます。 下痢の時は脱水だけでなく、腸液が失われることによりカリウム (K) が失われることが心配です。 「食べても食べても下痢をする」と言われる方がありますが、食べていることに安心している間にカリウムが失われていることを忘れないでください! 2.水分・食事の与え方 大人の私たちは下痢がひどいときは食事を控えるはずです。 私たちより弱い子供には大人以上の慎重さが必要になります。 基本は子供と同程度の下痢があった時に「自分なら何を食べるか」を考えてください。 自分なら食べないという物は、食べたら下痢が悪化すると考えるから食べない訳ですから、そういう物を弱い子供に与えてはいけません。 牛乳・いちご・プリン・ヨーグルトなどを与えている方は多いのですが、多くのお母さんは自分が下痢の時には、いちご・プリンを食べないと言います。 下痢に良くないと考え自分では食べない物を、子供に与える事っておかしいと思いませんか? 嘔吐の時と同じで、食べる事を考えるのでなく水分を与えることを考えてください。 嘔吐の時と違うことは、吐いていなければ飲む量は普通量でも良いのですが、 少な目にしておく方が無難でしょう。 乳幼児の場合は、ミルクを80%程度に薄めます。 離乳食に関しては、下痢がひどければ一時的に止めましょう。 3回程度なら2カ月前の内容の離乳食にして与えてください。 3.治療(血便のない時) 3回までの下痢では、下痢止めは不要です。水分を与えて、食事に注意してください。 4回以上の時は整腸剤・下痢止めを処方します。 4.血便のある時 血便は腸の粘膜が傷ついていることを意味します。 バイ菌(細菌)感染の場合は抗生物質を飲む必要があります。 腸の中の悪い物を早く出す事を一番と考え、下痢止めを使いません。 食事は中止して、水分補給をしっかりしてあげます。
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