1)突発性発疹(赤ちゃんの産まれて初めての発熱の事が多い)
原 因:ヒトヘルペス6型と7型です。
症 状:主に生後4カ月〜1歳に見られる高熱が出る病気です。
突然の高熱(39〜40度)が3〜4日続き、急に解熱し体
幹を中心に発疹が出ます。
高熱の割に元気なことが多い。
発疹は3〜4日程度続きます。
感染しても約半数の児は典型的な症状は示さず、発熱や
発疹だけの事や無症状のことさえあります。
治 療:予後は良好で、特別な治療は必要なく対症療法のみで良
い。
予防法:なし
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2)水痘(みずぼうそう)
原 因:水痘・帯状疱疹ビールスによる感染です。
症 状:感染すると約14〜16日の潜伏期の後体幹に発疹が生じ
ます。
1日目は中央が少し膨隆した発疹が主に体幹に出現し、
2日目には膨隆部が水疱になる。
3日目から4日目は水疱が痂皮(かさぶた)になります
3〜4日目までは新しい発疹が出現します。
発疹が全部痂皮(かさぶた)になるまでは感染力がある
ので登園・登校は出来ません。
注 意:13歳以上や慢性の皮膚疾患・呼吸器疾患をもつ児は重
症化する可能性があります。
免疫のない妊娠20週までの妊婦が感染すると先天性水
痘の児が生まれる可能性(0.2〜2%)があります。
治 療:アシクロビルを服用します
予防法:予防注射
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3)
麻疹(はしか)
原 因:麻疹ウイルス
感染経路:気道からの飛沫感染
症 状:カタル期(風邪様の症状)、発疹期、回復期の3期に
分けられる。
<カタル期>
38〜40度の発熱と共に鼻汁、結膜充血、咳が見られ
る。
3〜4日目頃に頬粘膜(口の中のほっぺたの内側の粘膜
)にコックリップ斑という白いブツブツが出来る。
<発疹期>
3〜4日目頃に一時的に熱が下がるが、半日ぐらいの
内に再び急激に上昇し39〜40度の高熱が続き麻疹特
有の発疹が耳の後ろから顔面、体幹〜四肢へと広がる
<回復期>
7〜10日目に解熱し回復する。
発疹も出現の順に薄くなるが色素沈着という跡がしば
らく残る。
潜 伏 期: 10〜12日
予 防: 麻疹風疹混合ワクチン 2回接種します
1回目‥1歳台 2回目‥就学前の1年間(年長児)
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4)
風疹(ふうしん)
原因:風疹ウイルスによっておこる急性の発疹性感染症
流行は春先から初夏に多くみられる
潜 伏 期: 2〜3週間
症 状:発熱・発疹・リンパ節の腫れ
「子供」では一般的に症状は軽いが、稀に脳炎・血小板
減少性紫斑病などの合併症が2000人から5000人に
一人の割合で発症します。
しかし「大人」がかかると、発熱・発疹の期間が子供
に比べて長く、関節痛がひどい事も多い。
風疹の抗体の無い妊婦が妊娠初期にかかると、先天性
風疹症候群の児が出生することがあります。
予 防: 麻疹風疹混合ワクチン 2回接種します
1回目‥1歳台 2回目‥就学前の1年間(年長児)
現在の問題点:1962年〜1990年生まれの人は風疹の予防接種
を受けていないか、受けていても1回だけなので
この世代に風疹が流行しています。
(現在風疹にかかっている患者の67%は20〜
40代の男性です。 25.4.20)
1990年以降生まれの人は「麻疹・風疹」の予防
接種を2回接種しているが、10%程度の人は接種
を忘れています。
●先天性風疹症候群
風疹の抗体の無い女性が、妊娠初期に風疹にかかると、胎児が
風疹ウイルスに感染して、難聴・心疾患・白内障・精神や発達の障害などを持つ児が生まれる可能性があります。
特に妊娠12週までに風疹にかかると、先天性風疹症候群の児の出生する可能性が高くなります。(25〜50%)
●2013年の風疹大流行
2013年の1月から6月9日までで、風疹患者が10,000人発症しました(毎週500人以上)。
風疹の抗体を持たない妊婦が、妊娠初期に感染すると先天性風疹症候群の児が生まれる可能性があります。2013年1月から8月の間に全国で13名の先天性風疹症候群の児が生まれています。
1962〜1990年に生まれた人は、風疹の予防注射を受けていないか又は1回のみの接種なので接種する事をお勧めします。
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5)流行性耳下腺炎(おたふく)
原 因:
ムンプスウイルス
感染経路: ムンプスウイルスの飛沫感染
症 状:耳下腺、顎下腺などの唾液腺の有痛性急性腫脹。
両側の耳下腺腫脹は75%。
通常48時間以内に腫脹は最大になる。
通常1〜2週間で軽快する。
中心年齢:3〜7歳(好発年齢:4〜5歳)
2歳以下は不顕性感染が多い
4歳以上は定型的な耳下腺炎として発症する
潜伏期間:16〜18日
登校基準:耳下腺の腫脹がある間はウイルスの排泄が多いので、
腫脹が消失するまで出席停止
治 療:特別な治療はありません。対症療法です。
発熱、頭痛に対してアセトアミノフェン製剤(カロナ
ール、アルピニー等)の 解熱鎮痛剤を使います。
合 併 症:発熱=20%は平熱。40度以上になることは稀です。
自然感染では「難聴」になることがあることが問題にな
っています。
無菌性髄膜炎の合併が2〜10%と言われています。
予 防 法:ワクチンが唯一の方法
ワクチンの効果:約90%が有効な抗体を獲得する。
接種しても流行性耳下腺炎に罹かる人は1〜
3%といわれる。
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6) インフルエンザ
原 因:インフルエンザウイルス
感染経路:インフルエンザウイルスの飛沫感染
症 状:突然の高熱、頭痛、全身倦怠、関節痛、筋肉痛乳幼児
では発熱が2峰性になることがある。
咳、咽頭痛、鼻汁などの気道症状がやや遅れて出現す
る
潜伏期間:1〜3日
(ウイルスが気道粘膜で増殖し、そのまま症状が出るた
めに潜伏期間は短い)
治 療:38度以下の軽症では特別な治療は要りません。
高熱が出て、元気がないようならタミフル、リレンザ
、イナビル等を服用します。
解熱剤はアセトアミノフェン製剤(カロナール、アル
ピニー等)以外は使ってはいけません!
合 併 症:肺炎・気管支炎などの下気道炎。
下痢・腹痛・嘔吐などの消化器症状。脱水。熱性痙攣。インフルエンザ関連脳症:3歳以下の乳幼児に好発し、インフル
エンザ発症から1日以内にけいれんや意識障害が
現れる。
予 防 法:うがい・手荒いの習慣を付けてください。
インフルエンザワクチン(小児への効果は50〜80%と
言われています。)
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7) 溶連菌感染症
原 因:主にA群β型溶連菌
感染経路:患児や保菌者からの飛沫感染
症 状:突然の悪寒・発熱(39度前後)・咽頭痛で始まる。
2日目に鮮紅色のかゆみを伴う粟粒発疹が首から側胸
や体幹に出現する。(口の周りには出ない)
3日目ごろから舌乳頭の深赤色腫大が起こる。
苺の様に見えることから「いちご舌」と呼ばれる。
潜伏期間:1〜5日
好発年齢:4〜9歳(5歳がピーク)
診 断:咽頭を綿棒でこすり、溶連菌抗原検出キットで溶連菌
の有無を検査します。
後 遺 症 :急性糸球体腎炎・リウマチ熱
(近年リウマチ熱の発症は見ませんが、急性糸球体腎炎
には注意が必要です)
治 療:後遺症を起こさないために、抗生物質を7日飲みます
治療開始から3週間目に検尿検査を行い腎炎になって
いないかを調べます。
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8)
夏かぜ
Rink‥手足口病(Dr.ムラのこども通信)
Rink‥咽頭結膜熱(Dr.ムラのこども通信)
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9)肺炎球菌と肺炎球菌感染症
肺炎球菌は多くのこどもの「鼻」や「のど」に常在している(新生児の2.5%、乳児の41%、幼児の13%)身近な菌です。
しかし、ウイルス感染症(かぜ)で鼻や気管の粘膜が傷ついたり、体力や抵抗力が落ちると体の深部にまで入り込み中耳炎・副鼻腔炎・気管支炎・肺炎・敗血症・髄膜炎など色々な病気を起こします。
一番の問題点は、免疫系の未熟な2歳未満の乳幼児では抗体(抵抗力)を 作ることが出来ないことです。その上、抗生剤が効かない肺炎球菌が増えているために、中耳炎を何度も繰り返したり、肺炎になると重症化し入院することもあります。最も恐い病気の一つは髄膜炎です。
肺炎球菌性髄膜炎
脳や脊髄を覆う(おおう)膜(=髄膜)に菌が進入しておこる感染です。
初期症状は発熱・嘔吐・頭痛・不機嫌で、普通の「かぜ」と区別がつきにくく、その上症状の進行が速いので治療が間に合わないことがあります。
抗生剤が効かない耐性肺炎球菌が増えていることも予後を悪くしています。
日本では毎年約200人の子どもが肺炎球菌性髄膜炎にかかり、その内5%が死亡、25%に後遺症(聴覚障害・発達遅延・神経学的障害)が残ります。
予防法
2歳未満の乳幼児では肺炎球菌感染症にかかっても抗体(抵抗力)を作ることが出来ないので、予防注射が勧められています。
アメリカでは定期予防接種にすることにより、肺炎球菌による重い感染症を98%減らすことが出来ました。
接種方法
生後2ヶ月から接種出来 、4〜8週間隔で3回接種します。
生後7ヶ月以上で開始した児は2回、1歳以上で開始した児は1回の接種です。
1歳までに接種した児は、追加接種を1歳の頃に1回します。
(その際、最終の接種から60日以上開いていることが必要です)
1歳以上で初めて接種した児は、60日後に追加接種をします。
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10)
Hib(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)感染症とHib髄膜炎
Hibとはヘモフィルスインフルエンザ菌b型という 細菌(バイ菌)のことです。
(皆さんになじみの深いインフルエンザウイルスとは全く違います)
肺炎球菌と同様には多くのこどもの「鼻」や「のど」に常在しています。
鼻の奥で増えたHibが脳・肺・耳・喉頭(のどの奥)に感染を起こし、中耳炎・肺炎・喉頭蓋炎(クループ)・敗血症・肺炎・髄膜炎などを起こしますが、肺炎球菌同様に抗生剤の効かない耐性菌が増えているために重症化しがちです。
また、鼻で増えたHibは人から人に空気感染するので、2歳未満で保育園に行っている乳幼児では特に危険度が増します。
Hib髄膜炎
髄膜炎とは、脳や脊髄を覆う(おおう)膜(=髄膜)に細菌やビールスが感染した状態です。症状は、発熱・嘔吐・頭痛・不機嫌・けいれんなどの「かぜ症状」です。初期症状が「かぜ」と区別がつきにくく、簡単な検査では診断が出来ないために治療が手遅れになることもあります。
髄膜炎の原因としてはHibが最も頻度が高く、次ぎに肺炎球菌です。
肺炎球菌同様に抗生剤の効かないHib耐性菌が増えているために治療が効きにくくなっています。そのため、かかると多くの児が不幸な転帰を取ります。
Hib髄膜炎は生後3ヶ月から5歳までの児が危険ですが、特に2歳未満の子どもが最も多くかかっています。毎年全国で約600人の乳幼児がHib髄膜炎にかかっており、その内5%が死亡、25%に後遺症(聴覚障害・発達遅延・神経学的障害)が残ります。
予防法
予防注射により、重い感染症を98%減らすことが出来ると考えられています。
接種方法
生後2ヶ月から接種出来 、4〜8週間隔で3回接種します。
(ただし生後7ヶ月以上で開始した児は2回、1歳以上で開始した児は1回の接種です)
1歳までに接種した児は、最終接種から7カ月後に追加接種します。
1歳以上で初めて接種した児は、追加接種をしません。(この点が肺炎球菌ワクチンと違います)
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